令和2年度札幌医科大学付属病院/女性医師就労支援事業講演会に参加しました!
令和2年度札幌医科大学付属病院/女性医師就労支援事業講演会
演題:新型コロナウイルス感染拡大に伴う医師の業務と日常の変化について
~3大学のアンケート調査から見えてきたもの~
日 時:令和2年2月24日(水)17:00~18:30
方 法:Zoomミーティング
講演者:
札幌医科大学付属病院 女性医師等就労支援委員会 西田 幸代 先生
旭川医科大学 二輪草センターセンター長 山本 明美 先生
北海道大学病院 男女共同参画推進室 清水 薫子
札幌医科大学女性医師等就労支援事業講演会において北海道の3医育大学からのCOVID19関連のアンケート結果が公表されました。
まずは旭川医科大学 二輪草センターの山本明美先生からのご発表で、旭川医科大学において実施されたアンケート調査結果(URLスライド 1 (asahikawa-med.ac.jp))が示されました。内容はさらに広がり、COVID19により通常のオンサイトの講演会ができない状況でのオンラインという選択が予想以上に好評であったことの気づきをお話いただきました。(二輪草セミナー、学生と看護師セミナー、メンタリング・シャドウイング研修)ライブでの講演だけでなく、オンデマンドでの視聴は余裕をもった学習に繋がること、COVID19によるコミュニケーション不足・ストレスにも効果がある可能性もご教示いただきました。
北海道大学病院で施行されたアンケートは、診療・教育・研究を網羅する構成で、医育大学病院の機能の多面的評価がなされました。学生教育における大きな変化、それに伴う教員の仕事の量と質の変化が明らかにされ、研究においても特に緊急事態宣言時の動物実験や臨床研究においても受診・検査延期による影響も示されました。今後も病棟実習や診察のトレーニングなど、座学と比較し代替が容易でない学習への工夫が試行錯誤されていくことが予想されました。本調査結果は内科1阿部結希先生が筆頭著者となり、日本医師会雑誌に受理済みです。
札幌医大附属病院女性医師等就労支援委員で泌尿器科の西田幸代先生より、何が辛かったのか、何が大変だったのかを把握しておかないと、次の波が来た際にまた同じことを繰り返してしまうという懸念から実施されたアンケート調査結果(委員会の取り組み|札幌医科大学附属病院 女性医師等就労支援事業 (sapmed.ac.jp))が発表されました。札幌で勤務する医療者であることに関して、差別や偏見の経験はあったか、という質問について、自分自身に差別や偏見と感じる声があったという方が4%。差別を受ける恐れを感じ、医療従事者であることを知られないようにした、という方も10%いました。出張先で札幌から来た出張医に診察されたくないとの発言、医療関係者の配偶者が勤務先で休職を強いられたケースも報告されておりました。妊婦が医師という職業のために希望の病院への通院を断られた、子供が学校で差別を受けないように親が医療従事者であることは必要時以外言わないように教えた、というエピソードも紹介されました。コロナの感染拡大による家庭での負担の変化を男女別でみると、男性医師は、家庭での負担が少し増えた方が22%、かなり増えたは0%であるのに対して、女性医師は少し増えたが26%、かなり増えたが15%と、女性優位の家庭の負担が明瞭化しておりました。次に、育児の状況への質問に関しては、男性は92%が主にパートナー、女性医師は95%が主に自分自身という状況でした。以前は、女性医師は子供を祖父母に預けることが多かったようですが、現在はその傾向は薄れていることが示されました。さらに重要な観点として、情報伝達の難しさがあげられ、若手のSNS世代のメール離れが表出されました。それは日本泌尿器科学会のメールの開封率が40数パーセントしかないという調査結果とも合致しているようです。そして今回のアンケートの結果を受けて、塚本学長と土橋病院長からのメッセージを、ホームページに掲載し、COVID19により差別をうけたなどの経験を把握し、職員へまなざしが向いていることを示す動きがあったとのことです。3大学とも、アンケート調査からの気づき・共有が起こり、さらに大学間での良好な連携を継続し、医療の維持に欠かせない医療者のサポート体制を構築していくことの重要性が認識されました。
実り多い講演会を企画してくださった札幌医科大学女性医師等就労支援事業事務局様、お忙しい中、時間をつくり、ともに考えてくれた皆様に感謝申し上げます。